子供ではなく、自分。
- JYOTI* .
- 3月30日
- 読了時間: 7分

今や引きこもりのお子さんは珍しくはありませんね。
子供が引きこもりになった時に絶対に必要なのは、親が真剣に自分自身と向き合い、変わらなければならないということです。子供とも向き合うということは、自分自身と向き合うということです。
引きこもりの原因の特定は難しく、いくつかの要因が重なっています。そのひとつに、親子の相性があります。血が繋がった親子だからって、関係がすべていくとは限りません。それぞれが個別の人間なので、親と子供の相性が良いとは限らないのです。血が繋がっているとはいえ、「自分とは別の人」いわば「他人」ですからね。「親子でも、子供は自分とは別の人間」という事を認識していない人は、思いのほか多いです。まずはその認識をしっかりとして行くことが重要です。
親と相性が悪くない子供の場合、良いか悪いかは別として、親の観念や意識などの姿勢を割とスムーズに受け入れます。相性が悪い子供の場合、自分の在り方がわからなくなってしまい、苦しみます。苦しんだ結果、自分を守るために引きこもるのです。
子供が引きこもりになってしまう親の多くは、子供が望んでいないのにもかかわらず「先回り」して色々とやってあげる癖があるか、「世間体」を気にし過ぎているか、「規範」を重んじすぎているか、のいずれかに当てはまる事が殆どではないかと思います。もしくは「放任主義」です。こちらは割愛しますが、放任主義の親を持つ子供の場合は、引きこもりではなく、例えば援助交際や非行に走るなどといった行為をするようになりやすいようです。
子供のことが心配なあまり、子供が自分でやるはずのものを、親が先回りしてやってあげてしまえば、子供は自分で学ぶ機会を失います。例えば何か物事に関して失敗したとしても、子供は必ずその失敗から何かを学んでいます。失敗することも、実は子供にとってはとても貴重な体験なのです。
もしかしたら、「子供」が失敗を恐れているのではなく、単に「親」が子供の失敗を「恐れている」だけなのでは?と思います。なぜでしょうか?そこには何らかの理由があるはずですので、自分の心を探ってみてください。まずは自分のことを知らないと、手放すべきものも手放せないのです。ですから、自分の心を知ってください。普段の思考や意識をよく観察してください。
これは私の見解ですが、親が子供のために「先回り」するのも、結局は「世間体」や「規範」を気にし過ぎるからなのではないか?と思います。一見「子供のために」と行動しているようでいて、実は親自身のために先回りをしているのかもしれません。
規範を重んじ過ぎる親は、常に「こうでなければならない」「こうしなければならない」という意識で生きています。そして、その考えや姿勢を子供に押し付けます。言葉で直接そのようなことを伝えていなくとも、普段の何気ない言葉の端々に、その意識が表れていたりするので、それを子供は知らずのうちに受けています。
これは、つまり「親子の相性」とも言えるようなことですが、子供が何人かいる場合、親の規範を重んじる姿勢を受け入れる事が出来る子と、出来ない子がいるかもしれません。受け入れる事が出来る子は、もしかしたら親と同じように、規範を重んじるタイプだったり、何かの枠に自分をおさめながら生きて行きたいタイプだったり、従順なタイプだったりするのでしょう。そのような場合、引きこもりにならない可能性が高いことが多いです。
一方で、誰にも何にも束縛されたくない自由なタイプだったり、自立心が旺盛だったり、独自の世界観を持っていたり、個性が強いタイプだったりする子は、引きこもりに陥ってしまう可能性が高いと思います。
なので、上の子供二人は、他の子たちと同じように毎日学校へ行き、普通に卒業して進学して…という感じだったのに、一番下の子だけ不登校になり、引きこもりになってしまった、というような事はあると思います。
引きこもりになってしまう子供は、言葉に表さずとも、無意識的に「親はこうしなさいと言うけれど、それは自分の生き方とは何かが違う」というような感じのことを思っているかもしれません。
会社など、何か継承している物事を子供に継がせるためだったり、親の希望(学歴や職業など)を叶えるために、そちらの方向へ子供を導こうとする親は意外と多いですが、それを子供が望んでいたり、本音に相違なく受け入れることが出来れば問題ないのですが、そうでない場合は要注意です。
親は子供のためにも、世間体や規範を気にし過ぎる意識を、本気で手放していかなければなりません。うわべで「手放したつもりでいる」だけでは、子供はそれに気づきます。引きこもりになっている状態の子供は人の心に敏感です。うわべで思っている事にも、すぐに気づきます。心の底から「手放し」を行なっていくためには、自分自身(親自身)の心と本気で向き合っていく必要があります。そのためには、頭で理解するのではなく、心で理解してください。頭で考えるのではなく、心で感じてください。
そして、子供が引きこもっていることを問題視しないでください。問題視しているということは、未だ何かを気にしているという事に他なりません。それは世間体や規範ではありませんか?「あなたが生きているだけで幸せ」と、このように思えるまで、世間体や規範を気にする意識を手放して行ってください。
ところが、親が「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」を目標にしている場合、引きこもる状態がずっと続くと思います。何故だかわかりますか?「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」を目標にしている時点で、子供を変えようとしていますよね。これはエゴそのものです。子供を変えようとするのではなく、親自身が変わる必要があります。「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」を「問題」「ダメなこと」として見ないようにならなければなりません。心の底で「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」を願っていながら、頭でこれらを「問題」だとか「ダメなこと」だとは思っていない、というスタンスではなく、心の底からこれらのことを「問題ではない」「ダメなことではない」と理解しなければならないのです。
引きこもりの解決として、「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」という定義をやめる必要があります。これは絶対です。引きこもっている状態を問題視するから子供が苦しむのです。子供は既に苦しい状態にいて、自分を守るために引きこもっています。それが「問題」だから「引きこもるのをやめて欲しい」という意識のエネルギーは子供にしっかりと伝わりますが、「自分を守ろうとすることがダメなこと」であるというように伝わります。引きこもっている子供というのは、行動を起こそうとすることで、さらなる痛みを引き起こしてしまうのです。そうすれば、さらに子供は苦しみ「自分なんかこの世からいなくなってしまえばいいんだ」などと思うに至ります。もう一度言いますが、「学校へ行かなくてもいい、引きこもっていてもいい、あなたが生きていればそれでいいのだ」と心の底から思えるようになってください。そのためには、どうしても親自身の心、意識を変えて行かなければなりません。
ざっくばらんに書いていますが、引きこもりの子供の親を責めているわけではありません。むしろ、親は「私が悪いんだ」などと、自分を責めたりはしないでください。責めても何も良いことはありませんし、自分を責めるとエネルギーが違う方向へ行ってしまい、収拾がつかなくなります。それに、親が自分自身を責めている間、子供はもっと辛い思いをしています。絶対に必要なのは、変わる覚悟を強く持ち続ける事、規範や世間体に関する観念を根こそぎ手放すために行動することです。
親が子供を変えることは出来ません。ですが、親が子供に影響を及ぼすことはできるのですから。
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