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子供ではなく、自分。

  • 2025年3月30日
  • 読了時間: 9分

更新日:5 時間前



今や、引きこもりのお子さんは珍しくはありませんね。


子供が引きこもりになった時に必要なのは、親も真剣に自分自身と向き合い、これまでの価値観や子供との関わり方を見直していくことです。子供と向き合うということは、自分自身と向き合うということでもあります。今からここに綴る内容は、心理学的な観点も踏まえながら書いた、私なりの見解です。


引きこもりの原因を一つに特定することは難しく、いくつもの要因が重なっていることが多いです。そのひとつとして、親子の気質や価値観の違いが、子供の苦しさを大きくしている場合があります。


血が繋がった親子だからといって、関係がすべてうまくいくとは限りません。それぞれが個別の人間なので、親と子供の相性が良いとは限らないのです。血が繋がっているとはいえ、「自分とは別の人」、いわば「他人」ですからね。「親子であっても、子供は自分とは別の人間である」ということを認識していない人は、思いのほか多いです。まずは、その認識をしっかり持つことが重要です。


親と気質や価値観が似ている子供は、良いか悪いかは別として、親の観念や意識、物事に対する姿勢を比較的スムーズに受け入れることがあります。一方で、親と気質や価値観が大きく異なる子供は、親から求められる在り方と、自分が本来望んでいる在り方との間で苦しむことがあります。その苦しさが積み重なった結果、自分を守るために引きこもることもあるのです。


引きこもりを長期化させることのある親子関係のひとつとして、子供が望んでいないのにもかかわらず、親が「先回り」して色々とやってあげてしまうことがあります。また、「世間体」を気にし過ぎることや、「規範」を重んじ過ぎることも、子供の苦しさを深める場合があります。


子供のことが心配なあまり、子供が自分でやるはずのことを親が先回りしてやってしまえば、子供は自分で考え、選び、失敗し、学ぶ機会を失います。何かに失敗したとしても、子供はその失敗から必ず何かを学んでいます。失敗することも、実は子供にとってはとても貴重な体験なのです。


もしかしたら、「子供」が失敗を恐れているのではなく、単に「親」が子供の失敗を恐れているだけなのではないでしょうか。なぜ、そこまで子供の失敗が怖いのでしょうか。そこには、何らかの理由があるはずですので、自分の心を探ってみてください。


子供が失敗したら、自分が恥ずかしいのでしょうか。親として間違っていると思われるのが怖いのでしょうか。子供の将来が、自分の思い描いていたものから外れてしまうことが怖いのでしょうか。それとも、自分自身が失敗を許されない環境で育ってきたのでしょうか。


まずは、自分のことを知らないと、手放すべきものも手放せません。ですから、自分の心を知ってください。普段、自分がどのような思考をしているのか、子供に何を期待しているのか、どのような未来を正しいと思っているのかを、よく観察してください。


これは私の見解ですが、親が子供のために「先回り」するのも、結局は「世間体」や「規範」を気にし過ぎているからなのではないかと思います。一見、「子供のために」と行動しているようでいて、実は親自身が不安にならないために先回りをしているのかもしれません。


規範を重んじ過ぎる親は、常に「こうでなければならない」「こうしなければならない」という意識で生きています。そして、その考えや姿勢を子供にも求めます。言葉で直接そのようなことを伝えていなくても、普段の何気ない言葉や態度、表情、声の調子などに、その意識は表れます。子供は、そうしたものを知らず知らずのうちに受け取っています。


これは「親子の相性」とも言えるようなことですが、子供が何人かいる場合、親の規範を重んじる姿勢を受け入れられる子と、受け入れられない子がいるかもしれません。受け入れられる子は、親と同じように規範を重んじるタイプだったり、何らかの枠の中に自分をおさめながら生きていくことに、それほど苦痛を感じないタイプだったりするのでしょう。


一方で、誰にも何にも束縛されたくない自由なタイプだったり、自立心が旺盛だったり、独自の世界観を持っていたり、個性が強かったりする子は、親が求める枠と自分の本来の在り方との間で、強い葛藤を抱えることがあります。


そのため、上の子供二人は、他の子たちと同じように毎日学校へ行き、普通に卒業して進学していったのに、一番下の子だけ不登校になり、引きこもりになってしまった、というようなことも起こるのだと思います。同じ家庭で育ったからといって、すべての子供が同じように感じ、同じように親の価値観を受け入れるわけではありません。


引きこもりになってしまう子供は、言葉に表さなくても、無意識的に「親はこうしなさいと言うけれど、それは自分の生き方とは何かが違う」と感じているのかもしれません。


会社など、何か継承しているものを子供に継がせるためだったり、親の希望する学歴や職業を叶えるためだったりして、そちらの方向へ子供を導こうとする親は意外と多いです。それを子供自身も望んでいて、本音に相違なく受け入れることができているのなら問題ありません。ですが、そうでない場合は要注意です。


親は子供のためにも、世間体や規範を気にし過ぎる意識を、本気で手放していかなければなりません。うわべで「手放したつもり」になっているだけでは、子供は親の言葉と態度の食い違いを感じ取ります。


引きこもっている状態の子供は、親の何気ない表情や声の調子、態度の変化に敏感になっていることがあります。親が口では「学校へ行かなくてもいい」と言いながら、心の中では「早く学校へ戻ってほしい」「いつまでこの状態が続くのだろう」と思っていれば、その意識は言葉や態度を通じて子供に伝わります。


心の底から手放しを行なっていくためには、自分自身、つまり親自身の心と本気で向き合っていく必要があります。そのためには、頭で理解するだけではなく、心で理解してください。頭で考えるだけではなく、心で感じてください。そして、子供が引きこもっていることを理由に、子供の存在そのものを問題視しないでください。引きこもって自分を守っていることまで否定しないでください。


もちろん、子供の健康状態や安全を見守ることは必要です。心身の不調が強い場合や、自分を傷つける危険がある場合には、専門家や支援機関に相談することも必要です。ですが、子供を責めたり、無理に外へ出したり、親が望む状態へ急いで戻そうとしたりすることとは別の話です。


「あなたが学校へ行っているから幸せ」なのではなく、「あなたが普通に働いているから安心」なのでもなく、「あなたが生きているだけで幸せ」と思えるところまで、世間体や規範を気にする意識を手放していってください。


ところが、親が「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」だけを目標にしている場合、引きこもる状態が長く続いてしまうことがあります。なぜだかわかりますか。

「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」を目標にしている時点で、子供を変えようとしていますよね。それは本当に子供のためでしょうか。それとも、親自身が安心したい、世間から普通に見られたい、これ以上不安を感じたくないという思いではないでしょうか。


学校へ行くことや社会に出ることを願うこと自体が悪いのではありません。ですが、本人の苦しさや意思よりも、親が安心できる状態へ戻すことを優先してしまえば、それは子供のためのように見えて、実際には親自身のための願いになっています。


子供を変えようとするのではなく、まず親自身が変わる必要があります。「子供が学校へ行かないこと」「引きこもっていること」を、ただちに「問題」や「ダメなこと」として見ないようにならなければなりません。


心の底では「早く学校へ戻ってほしい」「引きこもりをやめてほしい」と思いながら、頭だけで「問題だとは思っていない」と言い聞かせても、子供には伝わります。今すぐ変わることを求めるのではなく、まずは「今は学校へ行かなくてもいい」「今は引きこもっていてもいい」「あなたが生きていれば、それでいい」と心の底から思えるようになる必要があります。


引きこもりの解決を、「子供が学校へ行くこと」「引きこもりをやめること」だけで定義するのは、やめる必要があります。引きこもっている状態だけを問題視すると、子供はさらに苦しみます。


子供はすでに苦しい状態にいて、自分を守るために引きこもっています。それなのに、「引きこもっていることが問題だから、早くやめてほしい」という意識を向けられれば、子供には「自分を守ろうとすることさえダメなのだ」と伝わることがあります。


引きこもっている子供は、行動を起こそうとすることで、さらなる痛みを引き起こしてしまう場合があります。外に出ようとしても、学校へ戻ろうとしても、人と関わろうとしても、そのたびに強い恐怖や苦しさを感じることがあります。


その状態で、「早く動きなさい」「いつまでそうしているの」「このままでどうするの」と言われれば、さらに子供は苦しみ、「自分なんかこの世からいなくなってしまえばいい」と思うに至ることもあります。


もう一度言いますが、「学校へ行かなくてもいい。今は引きこもっていてもいい。あなたが生きていれば、それでいい」と、心の底から思えるようになってください。これは、何もせずに放置するという意味ではありません。子供の安全と健康を守りながら、今すぐ変わることを強要しないということです。


そのためには、どうしても親自身の心や意識を変えていかなければなりません。

ざっくばらんに書いていますが、私は引きこもりの子供を持つ親を責めているわけではありません。私には、そのようなことをする必要も筋合いもありません。


親は「私が悪いんだ」などと、自分を責めないでください。自分を責めても、何も良いことはありません。自分を責めることに意識が向かってしまえば、本当に見つめなければならないものが見えなくなります。


また、親が自分を責め続けていると、子供も「自分のせいで親を苦しめている」と感じることがあります。それでは、親も子供も、さらに苦しくなってしまいます。


絶対に必要なのは、自分を責めることではなく、変わる覚悟を持ち続けることです。自分の中にある規範や世間体に関する観念を見つけ、それを根こそぎ手放すために行動することです。


親が子供を直接変えることはできません。ですが、親が変われば、親子の間に流れるものは変わります。親の言葉が変わり、態度が変わり、家庭の空気が変わります。その変化が、子供に良い影響を及ぼすことはあります。


大切なお子さんのためなら、きっと良い方向へ自分を変えていくことができると思います。私は、それを応援したいと思います。 END



 
 
 

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